静まり返った水面が、突如として炸裂する。シーバスや青物が、水面近くのベイトフィッシュに猛然と襲いかかる、あの興奮の瞬間。そのバイトシーンを意図的に演出し、ターゲットを狂わせるために生まれたのが、ダイワの「モンスターウェイク」シリーズです。このルアーのインプレッションは、その圧倒的な存在感と、大型魚をも引きずり出すパワーで満ち溢れています。「ウェイク系ルアーとは何か?」という基本的な疑問から、モンスターウェイク156Fの具体的な重さ(40g)、120Fとの使い分け、そしてかつて存在した「ブル」モデルとの違いまで、知りたいことは山積みでしょう。クロスウェイクとの関係性や、青物への有効性、そして廃盤の噂も気になるところ。
この記事では、そんなあなたのあらゆる疑問に答え、モンスターウェイクが持つ真の実力とそのインプレを、具体的な使い方やモデル比較と共に徹底的に解剖していきます。
- 「ウェイク系ルアー」とは何か?その基本概念を解説
- モンスターウェイク156Fの重さ、スペック、アクションインプレ
- 120F、ブル(廃盤)、クロスウェイクとの明確な違いと使い分け
- 青物にも効く?モンスターウェイクのターゲットとポテンシャル
モンスターウェイクの基本性能とモデル比較
- ウェイク系ルアーとは?水面直下を制する戦略
- モンスターウェイク156Fの重さ(40g)と基本スペック
- モンスターウェイク ブル(Bull)との違いと廃盤の真相
- モンスターウェイク vs クロスウェイク:アクションとレンジの違い
- モンスターウェイクは青物にも効くのか?
1. ウェイク系ルアーとは?水面直下を制する戦略
「ウェイク系ルアー」とは、その名の通り、リトリーブ(巻き取り)すると水面にV字型の引き波(Wake)を立てながら泳ぐルアーの総称です。潜行深度は極めて浅く、水面直下(サブサーフェス)、おおよそ0cmから30cm程度のレンジを泳ぎます。この「水面直下」というレンジこそが、ウェイク系ルアーが持つ最大の武器です。
ターゲットとなるシーバスや青物は、ベイトフィッシュを水面近くに追い詰めて捕食することが多く、水面で発生する「引き波」や「音」、「波動」に対して非常に敏感に反応します。ウェイク系ルアーは、まさにその捕食本能をダイレクトに刺激するために設計されています。ルアーのリップ形状やボディバランスによって、デッドスロー(超低速)リトリーブでもしっかりと水を掴み、強い引き波と、ボディを左右に揺らすウォブリングやローリングアクションを発生させます。
これにより、広範囲の魚にその存在をアピールし、ターゲットの闘争心や好奇心を煽り、バイトへと持ち込むのです。特に、ベイトフィッシュが水面を意識している状況や、凪いだ水面、あるいは常夜灯周りの明暗部などで、他のルアーにはない圧倒的な威力を発揮します。
2. モンスターウェイク156Fの重さ(40g)と基本スペック
ダイワ モンスターウェイク 156Fは、シリーズの中核をなす、まさに「モンスター」の名にふさわしい存在感を放つビッグウェイクベイトです。その基本スペックは、全長156mmに対して、気になる重さは「40g」。このサイズと重さが、大型ベイト(コノシロ、ボラ、落ちアユなど)を偏食するランカーシーバスや、時に青物までもターゲットに捉えるための鍵となります。
フローティング(F)設定でありながら、内部には大型のタングステンウェイトを用いた重心移動システム(サイレントウェイトオシレートシステム)を搭載。これにより、40gという重量級ボディからは想像もつかないほどの、安定した飛行姿勢と驚異的な飛距離を実現します。アクションは、ただ巻きするだけで、水面に強烈なV字の引き波と、ボディを左右に大きくくねらせるような「スネークロールアクション」を発生。
この独特なアクションが生み出す強い波動と水押しが、広範囲のターゲットに猛烈にアピールし、深場に潜む魚さえも水面まで誘い出す力を持っています。潜行レンジは水面直下0~約50cm。まさに、水面を意識した大型魚を獲るためだけに、全てが設計されたルアーと言えるでしょう。
3. モンスターウェイク ブル(Bull)との違いと廃盤の真相
モンスターウェイクシリーズには、かつて「モンスターウェイク ブル(Bull)」というモデルが存在しました。このモデルについて、標準モデルとの違いや、廃盤の噂が気になる方も多いでしょう。ブルは、標準の156Fよりもさらにデッドスローリトリーブに特化し、より強い波動と引き波を発生させることを目的として設計されたモデルでした。特に、流れが緩やかな場所や、超低速でしかルアーに反応しないタフな状況下で、その威力を発揮するとされていました。
しかし、残念ながら「モンスターウェイク ブル」は、現在のダイワのラインナップからは姿を消しており、「廃盤」となっている可能性が非常に高いです(正確な情報はダイワ公式サイト等でご確認ください)。廃盤の理由は定かではありませんが、標準モデルの156Fや、他のウェイク系ルアー(クロスウェイクなど)との役割分担の中で、その役目を終えたのかもしれません。
ブルのインプレッションは、その独特なアクションを評価する声がある一方で、扱いがややピーキーであるという意見も見られました。現在、モンスターウェイクシリーズで「ブル」の名を冠するモデルは基本的には入手困難であり、選択肢としては標準の156Fや120F、あるいはクロスウェイクを検討するのが現実的です。
4. モンスターウェイク vs クロスウェイク:アクションとレンジの違い
ダイワのウェイク系ルアーには、モンスターウェイクと並んで「クロスウェイク」という人気シリーズが存在します。この二つの違いを理解し、使い分けることが、ウェイクベイト戦略の鍵となります。まず「モンスターウェイク」(156F/120F)は、前述の通り、強烈な引き波と、ボディ全体をくねらせるような「スネークロールアクション」が特徴です。
アピール力が高く、広範囲から魚を寄せる力に長けています。潜行レンジは水面直下0~約50cmです。一方、「クロスウェイク」(例:111F-SSR)は、モンスターウェイクよりもさらに浅いレンジ、水面直下0~約30cmを攻略するための「スーパーシャローランナー(SSR)」として設計されています。アクションも、モンスターウェイクのスネークロールとは異なり、ボディを左右に振る「ウォブンロールアクション」が主体です。波動はモンスターウェイクよりもややタイトで、よりナチュラルなアピールをします。
使い分けとしては、広範囲にアピールしたい時、ベイトが大きい時、あるいは多少波気がある状況ではモンスターウェイク。より浅いレンジをスローに引きたい時、ベイトが小さい時、あるいはナチュラルな波動で食わせたい時はクロスウェイク、というのが一つの目安となります。どちらも重心移動システムを搭載し、優れた飛距離性能を備えています。
5. モンスターウェイクは青物にも効くのか?
モンスターウェイク、特に156Fモデルは、その大きなシルエットと強烈なアピール力から、「青物」に対しても有効な場面があります。特に、イワシやコノシロといったベイトフィッシュが水面近くに浮いており、青物がそれらを激しく追い回している「ナブラ」や「ボイル」が発生している状況下では、モンスターウェイクの引き波とスネークロールアクションが、狂乱状態の青物の捕食本能を強烈に刺激します。
ターゲットとなるのは、イナダ(ブリの若魚)やサゴシ(サワラの若魚)、あるいはワラサクラスまでの中型青物がメインです。ただし、注意点が二つあります。一つは「フック強度」。標準装備のフック(#3や#2)は、シーバス用としては十分ですが、大型青物の強烈な引きには耐えられない可能性があります。青物をメインターゲットにする場合は、より太軸のフックへの交換を検討すべきでしょう。
もう一つは「アクションスピード」。青物は一般的に速い動きに反応しやすいため、シーバス狙いのようなデッドスローリトリーブよりも、やや速めのリトリーブや、ストップ&ゴーを織り交ぜるなど、リアクションバイトを誘発するような使い方が効果的な場合があります。安全な釣りを楽しむため、ライフジャケットの着用は必須です。全日本釣り産業振興会も推奨する安全対策を確認し、万全の準備で臨みましょう。
水面炸裂!モンスターウェイクとダイワおすすめルアー5選
- ダイワ モアザン モンスターウェイク 156F
- ダイワ モアザン モンスターウェイク 120F
- ダイワ モアザン クロスウェイク 111F-SSR
- ダイワ モアザン スイッチヒッター 105F
- ダイワ ショアラインシャイナーZ セットアッパー 125S-DR
1. ダイワ(DAIWA) シーバス ミノー モアザン モンスターウェイク 156F ルアー
水面を意識し、コノシロやボラといった大型のベイトフィッシュを偏食する、狡猾なランカーシーバス。あるいは、ベイトを追って浅瀬に突っ込んでくるパワフルな青物。そんな「モンスター」クラスのターゲットを、水面へと誘い出し、強烈なバイトへと持ち込むために生まれたのが、この「モアザン モンスターウェイク 156F」です。
全長156mm、自重40gという、まさにモンスターの名にふさわしい圧倒的な存在感。このルアーの真髄は、ただ巻きするだけで水面に強烈なV字の引き波(ウェイク)と、ボディ全体を左右にくねらせるような唯一無二の「スネークロールアクション」を発生させる点にあります。この強波動と大きなシルエットが、広範囲に散らばるターゲット、あるいは深場に潜むターゲットに対しても、その存在を猛烈にアピール。「ここに、喰いやすいデカいベイトがいるぞ」と知らせるのです。
潜行レンジは水面直下0~約50cm。シャローエリアはもちろん、ある程度の波気がある状況でも、水面から飛び出すことなく安定して泳ぎ切ります。内部には大型のタングステンウェイトを用いた「サイレントウェイトオシレートシステム」を搭載。キャスト時にはウェイトが後端まで移動し、40gという重量級ボディを、驚くほどの飛距離で彼方へと運びます。着水後は、ウェイトが前方の定位置に素早く戻るため、泳ぎ出しもスムーズ。着水直後からのバイトチャンスを逃しません。
フックは、ランカーシーバスや不意の青物にも対応する#3サイズを3つ搭載(標準)。そのインプレッションは、「他のルアーでは反応しない魚が、これにだけは激しくバイトしてきた」「水面が炸裂する瞬間がたまらない」といった、興奮の声に満ちています。水面炸裂という、ルアーフィッシング最高の瞬間を、このモンスターウェイク156Fでぜひ体験してください。
2. ダイワ(DAIWA) シーバス ミノー モアザン モンスターウェイク ブル 120F ルアー
モンスターウェイク156Fの圧倒的なアピール力と存在感はそのままに、より多くの状況に対応できるよう、絶妙なサイズ感にダウンサイジングされたのが、この「モアザン モンスターウェイク 120F」です。全長120mm、自重30g。このスペックは、156Fが大型ベイトパターン専用とも言えるのに対し、イナッコ(ボラの子)や中型イワシといった、より一般的なベイトサイズにもマッチします。これにより、河川、干潟、港湾部といった、156Fではやや大きすぎると感じられたフィールドでも、その威力を存分に発揮します。
アクションは、156F譲りの強烈な引き波と「スネークロールアクション」を踏襲。サイズは小さくなっても、そのアピール力は健在で、広範囲のシーバスにその存在を知らせます。潜行レンジは水面直下0~約50cmと、156Fと同等。もちろん、「サイレントウェイトオシレートシステム」も搭載されており、23gという自重からは想像できないほどの飛距離を実現。MLクラスやMクラスといった、標準的なシーバスタックルでもストレスなく扱うことができます。
フックは#5サイズを3つ搭載(標準)。156Fでは反応が得られない時、あるいはベイトサイズが小さいと感じる時、この120Fへのローテーションが、状況を打開する鍵となることは少なくありません。156Fとこの120F、二つのモンスターウェイクを揃えることで、あなたのウェイクベイト戦略は、より盤石なものとなるでしょう。
3. ダイワ(DAIWA) シーバス ミノー モアザン クロスウェイク 111F-SSR ルアー
モンスターウェイクが「パワー」で魚を寄せるウェイクベイトなら、この「モアザン クロスウェイク 111F-SSR」は、より「ナチュラル」に、そしてより「浅い」レンジを攻略するための、もう一つの答えです。SSRとは「スーパーシャローランナー」の略。その名の通り、潜行レンジは水面直下0~約30cmと、モンスターウェイクよりもさらに浅い層を、デッドスローリトリーブでも安定して泳ぎ切ることに特化しています。全長111mm、自重17.8g。
アクションは、モンスターウェイクの「スネークロール」とは異なり、ボディを左右に振る「ウォブンロールアクション」が主体。波動はモンスターウェイクよりもややタイトで、よりベイトフィッシュライクなナチュラルなアピールをします。この「超シャロー性能」と「ナチュラルアクション」が、干潮間際の干潟や、水深のないゴロタ場、あるいは春先のバチ抜けパターンなど、モンスターウェイクでは攻めきれなかった、あるいはアピールが強すぎた状況で、絶大な威力を発揮します。
「マグロック+G重心移動システム」を搭載し、飛距離性能も抜群。キャスト時にはウェイトが後端へ移動し、着水後はマグネットで前方にしっかりと固定されるため、泳ぎ出しが早く、流れの中でも安定したアクションを維持します。フックは#6サイズを3つ搭載(標準)。モンスターウェイクで反応がない時、あるいはより繊細なアプローチが必要な時、このクロスウェイクが、あなたのシャローゲームの新たな扉を開きます。
4. ダイワ(DAIWA) シーバス ミノー モアザン スイッチヒッター 105F ルアー
「水面直下」だけでなく、状況に応じて「もう少し下のレンジ」も攻略したい。そんな、刻々と変化するフィールドに対応するための、ダイワの「可変アクション」ミノーが、この「モアザン スイッチヒッター 105F」です。全長105mm、自重18.5gのフローティングモデル。このルアーの最大の特徴は、リトリーブスピードやロッド操作によって、アクションが「可変」することにあります。
デッドスローリトリーブでは、水面直下を弱々しく泳ぐ「タイトローリングアクション」。まるで瀕死のベイトフィッシュを演出します。そこからリトリーブスピードを上げると、徐々にウォブリングが加わり、中速域ではワイドな「ウォブンロールアクション」へと変化。さらに、トゥイッチやジャークといったロッド操作を加えると、左右へ大きく飛び跳ねるような「ダートアクション」を発生させ、リアクションバイトを誘発します。
潜行レンジも、リトリーブスピードやロッド角度によって、水面直下から約80cmまでコントロール可能。つまり、この一本で「トップウォーター的」な誘いから、「シャローミノー」としての使い方、さらには「リアクションベイト」としての役割まで、アングラーの意のままに演じ分けることができるのです。「MAGLOCK+R Ver.S」重心移動システムを搭載し、飛距離性能も高次元。モンスターウェイクやクロスウェイクが「特定のレンジとアクション」に特化しているのに対し、スイッチヒッターは「状況への対応力」が最大の武器。パイロットルアーとして、あるいは、喰い渋る状況を打開するための変化球として、タックルボックスに加えておきたい一本です。
5. ダイワ(DAIWA) シーバス ミノー ショアラインシャイナーZ セットアッパー 125S-DR ルアー
モンスターウェイクが支配する「水面直下」とは対極の、「ディープレンジ(深場)」を攻略するために、ダイワが誇る不朽の名作。それが「ショアラインシャイナーZ セットアッパー 125S-DR」です。DRとは「ダイビングランナー」の略。その名の通り、このルアーは最大で2mを超える深場まで潜行し、通常のミノーでは到底届かないレンジに潜むシーバスや青物を直撃するために設計されています。
全長125mm、自重26gのシンキング(S)モデル。大型のリップ(潜行板)がしっかりと水を掴み、急潜行。リトリーブを開始すれば、強いローリングアクションを伴いながら、設定されたディープレンジを安定して泳ぎ続けます。特に、足場の高い堤防や、水深のある河口部、あるいはブレイクラインが深いサーフなどで、その威力は絶大。
「サイレントワイヤーオシレートシステム」による重心移動で、飛距離性能も抜群です。モンスターウェイクで水面をアピールし、反応がなければセットアッパーで深場を探る。この「レンジ(水深)」による使い分けこそが、ダイワのルアー戦略の基本であり、釣果への最短ルートです。セットアッパーはシーバスだけでなく、ヒラメや青物に対しても高い実績を誇る、まさに「釣れる」ミノーの代名詞。モンスターウェイクと共に、必ず揃えておきたい、信頼のディープダイバーです。
まとめ:モンスターウェイクで、水面炸裂の興奮を掴め
モンスターウェイクというキーワードから始まったあなたの探求は、このルアーが単なる大型プラグではなく、ダイワが「水面直下」という最もエキサイティングなレンジを攻略するために、その技術と情熱を結集させた「特別な存在」であることを明らかにしたのではないでしょうか。
この記事では、ウェイク系ルアーの基本から、モンスターウェイク156Fの重さ(40g)やアクション、そして120Fやクロスウェイクとの明確な違い、さらにブル(廃盤)の存在や青物への有効性まで、インプレッションを交えながら徹底的に解説しました。今、あなたのアクションプランは明確です。
それは、ご自身のメインフィールドと、そこで捕食されているであろうベイトフィッシュのサイズを考慮し、最適なモンスターウェイク(あるいはクロスウェイク)を選ぶこと。大型ベイトパターンや広範囲アピールなら156Fを、よりバーサタイルに使うなら120Fを、超シャロー特化ならクロスウェイクを。そして、フィールドで信じて「ただ巻き」することです。デッドスローで、水面に引き波を立てながら。
その先に待っているのは、静寂を破り、水面が炸裂する、あの心臓が止まるような瞬間です。モンスターウェイクは、あなたのルアーフィッシングを、忘れられない興奮と感動に満ちた体験へと変えてくれる、最高のパートナーとなるでしょう。
