フラペン S85 徹底解説！飛距離とインプレ、使い方

シーバス、フラットフィッシュ、そして青物まで。一本のルアーで、あらゆるターゲットを攻略したい。そんなアングラーの願いを高いレベルで実現するのが、マリアのフラペン S85です。その万能性から多くの支持を集める一方で、その独特な構造ゆえの疑問も少なくありません。

特にフラペン S85が持つ驚異的な飛距離の秘密や、実際のユーザーによるインプレ、さらには一部で囁かれる廃盤の噂は、購入を検討する上でどうしても気になってしまうポイントでしょう。また、最適なフックサイズや、兄弟モデルであるS65やS115との違い、そして強化モデルであるフラペン ブルーランナー S85との関係性など、知れば知るほどその奥深さに気づかされます。

この記事では、あなたが抱えるそんな疑問の一つ一つに丁寧にお答えします。フラペン S85のポテンシャルを最大限に引き出すための知識を身につけ、あなたのソルトウォータールアーゲームを、より戦略的で、よりエキサイティングなものへと変えるお手伝いをします。

フラペン S85の真価とポテンシャルを完全解剖

1. 核心技術「フラップウイング」とS85の基本性能

フラペン S85の性能を語る上で、決して欠かすことのできない核心技術が、ボディ後方に搭載された開閉式の抵抗板、通称フラップウイングです。この画期的な機構は、キャストとリトリーブという相反する要求を、極めて高い次元で両立させるために開発されました。

キャスト時には、このウイングがボディラインに沿ってピタリと折り畳まれます。これにより、空気抵抗が大幅に削減され、85mm・28gという標準的なシンキングペンシルの常識を覆すほどの、安定した飛行姿勢と驚異的な飛距離を生み出すのです。そしてルアーが着水し、リトリーブによって水圧を受けると、ウイングは自動的にパッと開きます。

開いたウイングは水の抵抗をしっかりと掴み、ルアーに適切なブレーキをかけることで、低速リトリーブでもボディを左右に大きく振る、艶かしいS字スラロームアクションを発生させます。このウイングの仕組みは、Maria公式サイトの製品解説で詳細に確認することができ、まさにフラペンシリーズの心臓部と言えるでしょう。この機能があるからこそ、フラペン S85はただのシンキングペンシルではない、唯一無二の存在たりえるのです。

2. 気になる飛距離は？インプレで見る実力

フラペン S85の購入を検討する多くのアングラーが最も気にする性能の一つが、その飛距離でしょう。結論から言えば、85mm・28gというクラスにおいて、その飛距離はトップクラスです。多くのユーザーインプレッションを分析すると、その理由は二つに集約されます。

一つは、前述したフラップウイングがキャスト時に畳まれることによる、圧倒的な低空気抵抗。そしてもう一つが、内蔵された固定ウェイトによる、優れた重量バランスです。これにより、キャスト時にルアーが回転しにくく、まるで一筋の光のように真っ直ぐ飛んでいくと評価されています。

逆風下においても、その飛行安定性は損なわれにくく、他の同クラスのルアーが失速するような状況でも、もう一伸びしてくれるという声が後を絶ちません。インプレの中には、PEライン1号前後の標準的なシーバスタックルで、無風状態で平均60m以上、時には70m近く飛んだという報告も数多く見られます。

この飛距離は、これまで届かなかった沖のブレイクラインや、対岸のストラクチャーを射程に収めることを意味します。広大なサーフや大規模河川の河口で、他のアングラーが攻めきれない未開のポイントを直撃できるアドバンテージは、計り知れないものがあります。

3. 推奨フックサイズと交換の重要性

フラペン S85が持つ本来のアクションを100%引き出すためには、フックサイズの選定が極めて重要になります。このルアーの標準フックサイズは、オーナー社のカルティバ ST-46であれば#4が前後に搭載されています。この#4フックの重量とサイズが、メーカーによって計算され尽くした、最もバランスの取れたセッティングです。

もしフックが錆びたり、ポイントが甘くなったりして交換する際は、必ず同サイズ、同程度の重量のフックを選ぶようにしてください。例えば、より太軸で重いフックに交換すると、ルアーの浮き上がりが抑えられる反面、S字アクションの幅が狭くなり、本来の艶かしい動きが損なわれてしまう可能性があります。

逆に、軽すぎるフックに交換すると、アクションはよりワイドになりますが、ルアーが浮き上がりやすくなり、荒れた水面では飛び出してしまう原因にもなりかねません。特にフラペン S85のデッドスローリトリーブでの安定した泳ぎは、この純正フックバランスがあってこそ。フックは消耗品ですが、その選定を疎かにすることは、ルアーの命を奪うことにも繋がりかねない、という意識を持つことが釣果への近道です。

4. 廃盤の噂は本当？ブルーランナーモデルとの関係

一部のアングラーの間で囁かれているフラペン S85の廃盤の噂。これは、半分正解で半分間違いと言えます。正確には、初期に発売されたオリジナルモデルのフラペン S85は、生産が終了、あるいは縮小傾向にあり、店頭で見かける機会は減っています。しかし、その血統と性能は、より堅牢な形で現行モデルへと受け継がれています。

それが、フラペン ブルーランナー S85です。このブルーランナーモデルは、オリジナルモデルをベースに、より大型の青物とのファイトを想定して各部を強化したスペシャルチューン版です。ボディ内部の骨格となるワイヤーを、貫通ワイヤー構造もしくは強化リブ構造に変更し、ボディ自体の肉厚も増強。

これにより、不意のブリや大型ヒラマサの強烈な引きにも耐えうる、破断強度を大幅に向上させています。フックも、青物の硬い口を貫く太軸フックが標準装備されています。つまり、廃盤になったのではなく、より強く、より信頼できる形で進化したのが現在のフラペン ブルーランナー S85なのです。シーバスやフラットフィッシュ狙いであっても、この強化モデルの恩恵は大きく、安心して大物と渡り合えるという精神的な余裕は、大きなアドバンテージとなるでしょう。

5. S65/S115との比較と戦略的使い分け

フラペン S85の立ち位置をより明確に理解するためには、兄弟モデルであるS65とS115との比較が欠かせません。まず、S65は65mm・11gという小型軽量モデルで、マイクロベイトパターンや、港湾部でのシーバス、チヌ、メバルなどを狙うフィネスゲームでその真価を発揮します。S85では大きすぎると感じるときや、よりスローに、よりナチュラルに誘いたい場面での切り札となります。

一方、S115は115mm・38gの大型モデル。その圧倒的な重量とサイズは、外洋の磯やサーフでの遠投、そしてブリやヒラマサといった大型青物をメインターゲットに見据えています。ベイトがコノシロや大型のイワシである場合や、荒れた海況でルアーを安定させたい場合に絶大な信頼感を誇ります。その中で、フラペン S85は、まさに両者の中間に位置する、最も汎用性の高いバーサタイルモデルと言えます。

シーバス、ヒラメ、マゴチ、中型青物と、ショアから狙える多くのターゲットをカバーし、ベイトサイズもシラスから10cm前後のイワシまで幅広く対応可能。どのモデルから買うべきか迷ったら、まずはS85を手に取ることを強く推奨します。このモデルを基準にすることで、他のモデルの必要性も自ずと見えてくるはずです。

あなたの釣果を約束するフラペン S85 厳選5カラー

1. マリア フラペン ブルーランナー S85 イワシ

もしあなたが、たった一つのカラーで全国のフィールドを攻略しなければならないとしたら、選ぶべきはこの イワシ以外にありません。これは単なるシルバーのルアーではなく、日本の沿岸に生息するベイトフィッシュの王様、カタクチイワシを極限までリアルに再現した、究極のマッチザベイトカラーです。

光を浴びて明滅するリアルなホログラム、背中の深みのある青、そして腹部のナチュラルな白。その姿は、水中で生命を宿したかのような錯覚さえ覚えます。特に日中の澄み潮や、アングラーのプレッシャーで魚が極端にスレている状況において、このカラーの威力は絶大です。

派手なアピールカラーには見向きもしない狡猾なシーバスや、ルアーを執拗に見切ってくるヒラメに対して、このリアルなイワシカラーは警戒心を抱かせません。彼らにとってそれは、ルアーではなく、ごく自然に泳いでいる捕食対象そのもの。だからこそ、何の躊躇もなく、深いバイトへと持ち込めるのです。

フラペン S85の艶かしいS字アクションと組み合わせることで、その効果は最大化されます。まるで弱って群れからはぐれた一匹のイワシのように、ゆらゆらと水中を漂う姿は、あらゆるフィッシュイーターの捕食本能を根底から揺さぶります。基本にして頂点。このカラーがあなたのボックスにあるという安心感は、何物にも代えがたい自信となり、タフな状況を打破する力となるでしょう。

2. マリア フラペン ブルーランナー S85 ブルピンイワシ

朝マズメの薄暗い時間帯、あるいは夕暮れ時のマジックアワー。一日のうちで最も魚の活性が上がるこのゴールデンタイムを、あなたは確実にものにできていますか。この短い時合いで結果を出すために必要なのは、魚にいち早くルアーを見つけてもらうためのアピール力です。

その点で、マリア フラペン ブルーランナー S85のブルピンイワシは、他の追随を許しません。背中の鮮やかなブルーは、水中でシルエットを際立たせ、腹部のビビッドなピンクは、下から見上げる魚に対して強烈な存在感を放ちます。このカラーリングは、単に目立つだけではありません。

青とピンクという色の組み合わせは、多くのベイトフィッシュが持つ保護色と婚姻色が融合した、魚にとって非常に魅惑的な配色なのです。光量が少ないマズメ時や、潮が濁っている状況でも、その視認性の高さは失われず、広範囲から魚を呼び寄せるパワーを持っています。また、アングラー側からの視認性も高いため、ルアーのトレースコースを正確に把握できるというメリットも見逃せません。

パイロットルアーとして、まず最初に投げるカラーに迷ったら、このブルピンを選んでください。そのオールラウンドなアピール力は、その日の魚の活性をいち早く察知し、あなたに最初の一匹をもたらしてくれる、最も信頼できる相棒となるはずです。

3. マリア フラペン ブルーランナー S85 生シラス

ベイトがシラスやハクといった極小のマイクロベイトに偏食し、何を投げてもルアーが無視される。そんな絶望的な状況を経験したことはありませんか。そんな時、全てのアングラーを救う一手となるのが、マリア フラペン ブルーランナー S85の生シラスです。

このカラーの最大の特徴は、クリアボディにあります。透明なボディは、ルアーのシルエットを曖昧にし、セレクティブなターゲットに与えるプレッシャーを最小限に抑えます。水中で太陽光を透過させながら、内部のホロプレートがチラチラと微かに反射する様は、まさにシラスの群れそのもの。魚たちは、それをルアーだとは認識せず、無防備なベイトの集合体だと錯覚します。

特に、プレッシャーの高い港湾部や、水質がクリアなサーフでは、このカラーでなければ口を使わせられない場面が多々あります。また、クリアカラーはシルエットを小さく見せる効果があるため、85mmのサイズ感でありながら、それ以下のマイクロベイトを捕食しているターゲットにも効果絶大。

ボックスに一つ忍ばせておくだけで、攻めの引き出しが格段に増えます。周りのアングラーが誰も釣れていない中で、自分だけがヒットを連発する。そんなドラマチックな展開を、この生シラスカラーは現実に変えてくれるポテンシャルを秘めています。

4. マリア フラペン ブルーランナー S85 ピンクイワシ

光が届きにくい曇天や雨天、水深のあるエリア、そして濁りの入った状況。そんな視界の悪い条件下で、いかにして魚にルアーを発見させ、バイトに持ち込むか。その答えが、マリア フラペン ブルーランナー S85のピンクイワシです。このカラーは、背中に配色された鮮やかなピンクが最大の特徴。

ピンクという色は、水中での透過率が高く、光量が少ない状況でもシルエットがぼやけにくいという特性を持っています。これにより、他のナチュラルカラーが闇に紛れてしまうような場面でも、しっかりと魚にその存在をアピールし続けることができます。ベリー部分にはイワシを模したリアルなホログラムが採用されており、アピール力とナチュラルさという、相反する要素を高次元で両立させている点も見逃せません。

特にマズメ時やサラシの中など、魚の活性は高いものの、ルアーが見切られやすいシチュエーションで絶大な効果を発揮します。魚に気づかせるためのピンクと、食わせるためのイワシホロ。この巧みな組み合わせが、タフな状況でも確実に結果を出すための鍵となります。天候や潮の色に左右されず、常に安定した釣果を求めるあなたにとって、このピンクイワシは、どんな時でも信じて投げ続けられる、心強いお守りのような存在になるでしょう。

5. マリア フラペン ブルーランナー S85 ケイムラコットンキャンディ

人間の目には見えないが、魚には見えている光がある。それが、紫外線です。そして、その紫外線を吸収して青白く発光する特殊な塗装がケイムラです。マリア フラペン ブルーランナー S85のケイムラコットンキャンディは、この科学的なアプローチを最大限に活用し、魚の視覚に直接訴えかける禁断のカラーです。

特に、太陽光が弱まる朝夕のマズメ時や、深くレンジを探るディープエリアの攻略において、その威力は他のカラーの比ではありません。人間の目にはただのクリアカラーに見えても、水中では紫外線を受けて妖しく発光し、周囲のどのベイトよりも際立った存在となります。

低活性で、ボトム付近に沈んだ魚でさえ、この生命感溢れる光には抗うことができず、思わず口を使ってしまうのです。また、ベリー部分に施されたグロー（夜光）スポットは、さらなるアピール力を加え、ナイトゲームでのシーバス狙いにおいても圧倒的な効果を発揮します。これまで、どうしても反応させることができなかった一匹。

あと一歩で届かなかったあの魚。その最後の壁を打ち破るために、科学の力を借りてみてはいかがでしょうか。このケイムラアソートをラインに結んだ時、あなたは今まで見えていなかった魚の世界を垣間見ることになるかもしれません。

まとめ：フラペン S85で、あなたの釣りを次のステージへ

フラペン S85。その名が持つ響きは、もはや単なる一つのルアーを指すものではなく、多様なシチュエーションを打開するためのマスターキーとして、多くのアングラーの記憶に刻まれています。この記事を通じて、あなたが抱いていた飛距離への期待、インプレへの興味、そして廃盤への不安といった、様々な感情が整理され、確信へと変わったのではないでしょうか。

フラップウイングという革新的な機構が生み出す圧倒的な飛距離と、スローリトリーブで開花する唯一無二のS字アクション。そして、オリジナルモデルの魂を受け継ぎ、より堅牢に進化したブルーランナーモデルという頼もしい存在。これらの事実を知った今、あなたはフラペン S85を使いこなすための、揺るぎない知識という武器を手に入れたのです。あなたの次なる行動は、至って明確です。

この記事で紹介した5つの厳選カラーをもう一度見返し、ご自身のホームフィールドや、過去に悔しい思いをした状況を思い浮かべてください。澄み潮の激戦区で涙を飲んだのならイワシや生シラスを。マズメの時合いを逃したのならブルピンやピンクイワシを。その手に取るべき一本が、自ずと見えてくるはずです。その一本をタックルボックスに加え、フィールドに立つ。

それだけで、あなたの釣りは昨日までとは全く違う景色を見せてくれるでしょう。もはやルアーに迷う時間はありません。自信を持ってキャストし、ルアーを信じて巻き続ける。その先には、自己記録を更新する一匹との、忘れられない出会いが待っています。