静まり返った干潟、常夜灯が照らす港湾の明暗部。水面がざわつき、シーバスの気配を濃厚に感じるものの、トップウォータープラグには派手すぎ、ミノーではレンジが深すぎる。そんな、もどかしくもエキサイティングな状況を打開する鍵を求め、多くのアングラーが「クロスウェイク 111F」というルアーに辿り着きます。
このルアーが描くという、唯一無二の蛇行軌道、そのインプレで語られる圧倒的な釣果の秘密とは。そして、アングラーを悩ませるクロスウェイク 111Fのフックサイズや、大型モデルである140Fの飛距離、さらにはライバルともいえるガボッツとの違いも、購入前にはっきりとさせておきたいところです。
この記事は、そんなあなたの全ての疑問に答え、水面直下という最もエキサイティングなバイトゾーンを支配するための、最強の武器の正体を解き明かします。
- クロスウェイク 111Fの核心「スネークロールウェーブ」をインプレ解説
- 気になるフックサイズやRモデルとの違いなど、全ての疑問に回答
- 75, 90, 140Fといった兄弟モデルとの明確な使い分け
- ウェイク系ルアーの基本と、ライバル「ガボッツ」との違い
水面を支配する力。クロスウェイクシリーズの性能を徹底解剖

- ウェイク系ルアーとは?クロスウェイク111Fの基本性能
- 最重要スペック!クロスウェイク111fのフックサイズは?
- クロスウェイクとクロスウェイクRの決定的な違い
- 75, 90, 140Fとのサイズによる戦略的な使い分け
- 永遠のライバル?ガボッツとの思想の違い
1. ウェイク系ルアーとは?クロスウェイク111Fの基本性能
クロスウェイク 111Fを理解する上で、まず知っておきたいのが「ウェイク系ルアー」というジャンルの概念です。ウェイク系ルアーとは、水面、あるいは水面直下をごくスローにリトリーブすることで、ボディが水を押しのけ、水面にV字の引き波(Wake)を立てながら泳ぐルアーの総称です。この引き波が、水面で弱々しく泳ぐベイトフィッシュを完璧に演出し、ターゲットの捕食本能を強烈に刺激します。
その中でも、クロスウェイク 111Fは、ダイワ独自の設計により、ただ引き波を立てるだけでなく、まるで蛇が泳ぐかのような、艶めかしい蛇行軌道を描く「スネークロールウェーブ」を生み出します。111mm、17.8gという、シーバスルアーのど真ん中のスペックは、港湾部から河川、干潟まで、あらゆるフィールドに対応。
マグロック重心移動システムによる、安定した飛行姿勢と抜群の飛距離も魅力です。デッドスローで巻くだけで、誰でも簡単に、最もエキサイティングなバイトゾーンである水面直下を攻略できる。それが、このルアーの揺るぎない基本性能なのです。
2. 最重要スペック!クロスウェイク111fのフックサイズは?
クロスウェイク 111Fの購入を検討する際、またはフック交換を行う際に、多くのアングラーが確認するのが、その純正フックサイズです。このルアーのポテンシャルを最大限に引き出すための、メーカーが導き出した答え。それは「ST-46 #4」です。
この#4というフックサイズは、111mmというボディサイズに対して、フッキング性能と、ルアー本来のアクションを妨げないバランスを極限まで突き詰めた、まさに黄金比と言えるセッティングです。これよりフックを小さくすれば、アクションは軽快になりますが、大型のシーバスがヒットした際の強度に不安が残ります。
逆に、フックを大きく、太軸にすれば強度は増しますが、ルアーの浮力や重心バランスが崩れ、自慢のスネークロールウェーブが損なわれてしまう可能性があります。もしフック交換を行う際は、まずは純正と同じST-46 #4を基準に考えるのが最も確実です。
その上で、より強度を求めるのであれば、がまかつのRB-MHなど、同サイズでより強度の高いフックを選択するのも良いでしょう。フックは、魚とアングラーを繋ぐ唯一の接点。その重要性を理解し、常にベストな状態を保つことが、釣果への近道です。
3. クロスウェイクとクロスウェイクRの決定的な違い
クロスウェイクシリーズには、通常のモデルと、品番の末尾に「R」がつくモデルが存在します。この二つの違いは、ルアー内部にラトル、つまり音を発するウェイトが内蔵されているか否かです。通常のクロスウェイクは、ラトルが内蔵されていない「サイレント」モデル。
一方の「クロスウェイク R」は、「ラトル」モデルとなります。この違いは、状況に応じて明確な使い分けが可能です。まず、サイレントモデルが最も効果を発揮するのは、人的プレッシャーが高い激戦区や、水質がクリアで、シーバスの警戒心が極度に高い状況です。このような場面では、ラトル音が逆に警戒心を与えてしまうことがあるため、アクションと波動だけでナチュラルにアピールできるサイレントモデルが有利となります。
対して、ラトルモデルであるRが活躍するのは、水が濁っていたり、風や波で水面が騒がしかったり、あるいはナイトゲームといった、シーバスがルアーを視覚で捉えにくい状況です。ラトルが発する「コトコト」という重低音が、広範囲にルアーの存在を知らせ、遠くの魚や、低活性でやる気のない魚にも、その存在を気づかせ、バイトに持ち込むことができます。静と動。この二つを使い分けることで、あなたの攻略の幅はさらに広がります。
4. 75, 90, 140Fとのサイズによる戦略的な使い分け
クロスウェイク 111Fはその万能性からシリーズの中核を担いますが、状況に応じて他のサイズを投入することで、さらに釣果を伸ばすことが可能です。まず、シリーズ最小クラスである「クロスウェイク75F」や「クロスウェイク90F」は、春先のマイクロベイトパターンや、イナッコなどの小型ベイトが豊富な港湾部、小規模河川での切り札となります。
そのコンパクトなシルエットは、セレクティブなシーバスにも違和感なく口を使わせる、まさに喰わせのスペシャリストです。インプレでもその威力は折り紙付き。そして、シリーズ最大サイズを誇るのが「クロスウェイク140F」。140mm、30gを超えるその巨体は、秋のコノシロや落ち鮎といった、大型ベイトを捕食するランカーシーバスを狙い撃つための専用設計です。
その圧倒的な飛距離と、強烈な波動は、広大なサーフや大規模河川の河口で、他のルアーを寄せ付けない存在感を放ちます。まさにモンスターハンターのためのルアーと言えるでしょう。「小さいベイトには75/90」「基準となるのは111」「大型ベイトと飛距離を求めるなら140」。このサイズローテーションを使いこなすことが、クロスウェイクマスターへの道です。
5. 永遠のライバル?ガボッツとの思想の違い
ウェイク系ルアーの世界で、クロスウェイクの永遠のライバルとして常に比較されるのが、ブルーブルー社が生んだ名作「ガボッツ」です。この二つのルアーは、水面直下を攻めるという共通点を持ちながら、その設計思想は全く異なります。
クロスウェイクが、リップで水を受け、ボディをくねらせる「ミノー」の系譜に連なるルアーであるのに対し、ガボッツは、カップで水を受け、ポッピングやスプラッシュも可能な「ポッパー」の系譜から進化したルアーです。アクションの違いは明確。
クロスウェイクの「スネークロールウェーブ」が、弱ったベイトを演出し、静かに、そしてナチュラルに魚を誘う「静の誘い」を得意とするのに対し、ガボッツは、ポッピングによる捕食音や、スプラッシュによるアピールを絡めた、より派手で攻撃的な「動の誘い」が可能です。どちらが優れているということではなく、その日の魚の活性や、ベイトの状況によって、どちらが有効かが変わってきます。
水面が穏やかで、シーバスが静かに捕食しているならクロスウェイク。少し波気があり、より広範囲から魚を寄せたいならガボッツ。この思想の違いを理解し、使い分けることが、水面攻略の鍵となります。
釣果はカラーで変わる!状況別クロスウェイク最強カラー5選

1. ダイワ モアザン クロスウェイク 111F-SSR チャートヘッドイナッコ
もしあなたが、たった一つのカラーで、一年を通して、あらゆるフィールドを攻略したいと願うなら、この「チャートヘッドイナッコ」こそが、その答えです。イナッ子、すなわちボラの幼魚は、日本の沿岸、特にシーバスが好む汽水域において、最も普遍的で、最も栄養価の高いベイトフィッシュ。シーバスがこのベイトを偏愛するのは、もはや本能レベルの摂理です。
このカラーは、そんな最強ベイトであるイナッ子を、ダイワの最新技術で、生々しいまでに再現しています。リアルな鱗模様と、絶妙な透け感を伴う体色は、水中で光を受けると、まるで本物のイナッ子のように、ぬめかしい輝きを放ちます。派手さはありません。
しかし、その究極のナチュラルさこそが、スレきったシーバスの最後の警戒心を解き、何の疑いもなく口を使わせてしまうのです。クリアウォーターの日中はもちろん、常夜灯が絡むナイトゲームまで、その効果は絶大。このカラーを信じて、ただゆっくりと巻くだけ。それだけで、クロスウェイクが持つポテンシャルを、120%引き出すことができます。
ルアーボックスの中で、最初に結ぶべきパイロットカラーとしても、最後の最後に頼るべき切り札としても機能する、まさに王道にして最強のカラー。この一本が、あなたの釣りを、もっとシンプルに、そしてもっと豊かにしてくれることをお約束します。
2. ダイワ モアザン クロスウェイク 111F-SSR アデル不夜城
夜の闇は、ランカーシーバスとの距離を、最も近づけてくれる魔法の時間。その闇を完全に支配し、主導権を握るために、この「アデル不夜城」というカラーは生まれました。一見すると、ただのブラック。しかし、その黒こそが、ナイトゲームにおける最強の武器となるのです。
光が乏しい夜間、シーバスは獲物を、その輪郭、すなわち「シルエット」で捉えます。数あるカラーの中で、背景の僅かな光を完全に遮断し、最も明確で、最も力強いシルエットを映し出すのが、このブラック。水中で、このルアーは、他のどのカラーよりもくっきりと、その存在をシーバスに知らせることができるのです。
しかし、不夜城の真価はそれだけではありません。ベリー部分に吹かれた、怪しく輝くレッドと、ボディ側面のパープルパール。これが、常夜灯や月明かりといった、僅かな光源を拾い、まるで生命の鼓動であるかのような、微かで、しかし確かな煌めきを放ちます。明確なシルエットによる「存在感」と、微細な光による「生命感」。この、相反する二つの要素を完璧に両立させているからこそ、不夜城は、ナイトゲームで圧倒的な釣果を叩き出すのです。
暗闇の中で、信じて投げ続けられる絶対的な安心感。それは、アングラーの集中力を極限まで高め、千載一遇のチャンスをものにするための、何よりの支えとなるでしょう。闇に潜む怪物を狩るための、最強の弾丸が、ここにあります。
3. ダイワ モアザン クロスウェイク 90F-SSR マットライニング
雨後の濁流、荒れたサーフの底濁り、あるいは光の届かないディープナイト。そんな、シーバスがルアーを見つけにくい、極めてタフな状況で、闇を切り裂き、獲物へとその存在を届ける力が、この「マットライムチャート」にはあります。これは、アピール系カラーの頂点に君臨する、最強のカラーコンビネーション。
まず、ライムチャートという膨張色が、90mmというコンパクトなボディを、実際以上のサイズ感で、ターゲットに認識させます。そして、光の反射を抑えるマット(艶消し)塗装が、濁りの中でもシルエットをぼやけさせることなく、くっきりと映し出す効果を発揮。視界の悪い中でも、シーバスは、このルアーを容易に発見し、正確にバイトすることができるのです。
さらに、ベリー部分に配色されたオレンジは、下からルアーを見上げるシーバスに対して、最も効果的なバイトマーカーとなります。このカラーが真価を発揮するのは、ただ巻きだけではありません。トゥイッチやジャークを加えた際、この鮮やかな色が、水中を激しくフラッシングし、リアクションバイトを強力に誘発します。
喰い気のない、ニュートラルな状態のシーバスでさえ、思わず口を使ってしまうほどの、強烈な刺激。状況がタフであればあるほど、その輝きは増し、あなたを窮地から救い出す、希望の光となるでしょう。ボックスに一つ忍ばせておけば、攻略の幅が劇的に広がる、頼れる一手です。
4. ダイワ モアザン クロスウェイク 140F-SSR チャートヘッドイナッコ
秋が深まり、河川や港湾に、巨大なイナッコの群れが押し寄せる。それは、一年に一度訪れる、ランカーシーバスとの距離が最も近づく、夢の祭典の始まりです。その祭りを、最高の形で楽しむための、唯一無二の答えが、この「クロスウェイク 140F-SSR チャートヘッドイナッコ」。
140mmという圧倒的なボリュームと、イナッコを完璧に模したリアルなカラーリングは、まさしく大型ベイトを偏食する、メータークラスのモンスターを仕留めるためだけに存在します。30gを超える自重と、マグロック重心移動システムが生み出す、爆発的な飛距離。それは、遥か沖を回遊する、賢いランカーの縄張りを、いとも簡単に直撃します。
そして、このルアーが水面で描き出す、力強いスネークロールウェーブは、イナッコの群れの中でも、決して埋もれることのない、圧倒的な存在感を放ちます。ターゲットは、それを、群れからはぐれた、最も捕食しやすい格好の獲物だと認識するでしょう。そして、その巨体が、水面を炸裂させる、生涯忘れられないバイトの瞬間が訪れます。
夢のターゲットを、夢のままで終わらせない。そのための、最も確実で、最もエキサイティングな選択肢。それが、このルアーです。イナッコパターンの切り札として、その破壊力を、ぜひ一度体感してみてください。
5. ダイワ モアザン クロスウェイク 111F-SSR モアザンイワシ
晴れ渡った空、澄み切った水、そして、活発にベイトを追い回す、高活性なシーバスたち。そんな、絶好のチャンスを、最大限に活かし、効率よく釣果を伸ばすために、この「モアザンイワシ」は存在します。
これは、リアクションとアピールの要素を極限まで高めた、攻撃的なナチュラルカラー。ベースとなるのは、信頼の置けるイワシパターン。しかし、その全身には、強烈なフラッシングを放つ、赤金ベースのホログラムが採用されています。これが、太陽光を浴びると、水中で「ギラッ!ギラッ!」と、極めて強い光を乱反射。その様は、まさにパニックに陥り、逃げ惑うイワシの群れそのもの。
この強烈な明滅が、広範囲に散らばる高活性なシーバスの、側線と視覚を強烈に刺激し、我先にとバイトを誘発するのです。特に、クロスウェイクが得意とする、ただ巻きでのロールアクション時に、その効果は最大化されます。ボディが左右に倒れるたびに、側面が交互に光を放ち、そのアピール力は、通常のナチュラルカラーの比ではありません。デイゲームの切り札として、あるいは、魚の活性が高いマズメ時の、サーチベイトとして。
その圧倒的なアピール力が、退屈な時間を、熱狂的な時間へと変えてくれるでしょう。攻めの釣りで、最高の結果を出すための、最も強力な一手です。
まとめ:水面を支配する者。クロスウェイクで、最高の瞬間を

ダイワのクロスウェイクシリーズ、その中核をなす111Fのインプレから、フックサイズ、そして多彩な兄弟モデルまで、その魅力の全てを深くご理解いただけたでしょうか。
このルアーの本質は、水面直下という、最もエキサイティングなバイトゾーンを、誰もが簡単に、そして極めて効果的に攻略できる、その圧倒的な性能にあります。クロスウェイクが描く、艶めかしいスネークロールウェーブ。それは、シーバスの本能をダイレクトに刺激する、魔法の軌道です。
あなたが次にすべきことは、非常にシンプル。ご自身のメインフィールドを思い浮かべ、そこにいるベイトのサイズに、ルアーのサイズを合わせるだけです。そして、フィールドに立ち、信じて、ただゆっくりと巻いてみてください。静寂を破り、水面が炸裂する、あの最高の瞬間が、きっとあなたを待っています。
クロスウェイクは、単なるプラスチックの塊ではありません。アングラーの五感を研ぎ澄ませ、魚との距離を限りなくゼロに近づけてくれる、最高のパートナーなのです。この魔法の軌道を手に入れ、水面を完全に支配する、その興奮と感動を、ぜひ味わってください。