タフな状況下でこそ、その真価が問われる「シャッド」というルアーカテゴリー。メガバスは、この喰わせの領域においても、革新的な製品を世に送り出し続けています。「メガバス シャッド」と検索すると、そこには大きく分けて二つの世界が広がっています。一つは、「メガバス シャッド ルアー」に代表される、精巧なハードプラグの世界。特に、レジェンドアングラー今江克隆氏と伊東由樹氏のコラボレーションで生まれた「アイ バイアイ シャッド(I x I SHAD)」は、「アイ バイアイ シャッド インプレ」が絶えないほどの注目を集めています。
「アイ バイアイ シャッド TX」や「アイ バイアイ シャッド フューリアス」といった派生モデル、そして伝説的な「メガバス シャッ ディング X75」など、その戦略は多岐にわたります。もう一つの世界は、「メガバス シャッド ワーム」または「メガバス シャッドテール」と呼ばれる、ソフトルアーの世界です。生命感あふれる波動でバスを魅了するこれらのワームは、リグ(仕掛け)次第で無限の可能性を秘めています。
この記事では、ハードもソフトも、「メガバス シャッド」の全てを徹底的に解剖し、あなたのタックルボックスに欠かせない「切り札」を見つけるお手伝いをします。
- メガバスのハードシャッド(I x I, SHADING-X)の性能とインプレ
- I x I SHADシリーズ(TX, フューリアス)の明確な違いと使い分け
- メガバスのシャッドテールワーム(ソフトルアー)の定番と使い方
- ハードとソフト、二つの「シャッド」を使いこなす戦略
究極の喰わせ!メガバスのハードシャッドルアー5選
- メガバス I×I SHAD TYPE-R (アイバイアイ シャッド タイプR)
- メガバス I×I SHAD TX (アイバイアイ シャッド TX)
- メガバス I×I SHAD FURIOUS (アイバイアイ シャッド フューリアス)
- メガバス SHADING-X 75 (シャッディングX 75)
- メガバス FLAPSLAP (フラップスラップ)
1. メガバス I×I SHAD TYPE-R (アイバイアイ シャッド タイプR)
「アイ バイアイ シャッド(I x I SHAD)」は、日本のバスフィッシング界を牽引する二人の天才、今江克隆氏と伊東由樹氏の「夢の協演」によって生み出された、奇跡のシャッドプラグです。その中でも「TYPE-R」は、I x I SHADの原点であり、トーナメントシーンで勝つための「喰わせ」の性能を極限まで高めたモデルです。全長57mm、重さ1/4oz(約7g)、潜行深度1.8m(10lbライン)。
このルアーの核心は、その「アクション」と「レンジ(水深)」の完璧なバランスにあります。ただ巻きするだけで、超ハイピッチなロール(体をひねる)アクションを発生させ、まるで本物の小魚が放つような生々しい明滅(フラッシング)でバスを強烈に惹きつけます。さらに、ロッドを軽くあおる「トゥイッチ」を加えれば、左右にキレのあるダート(不規則な動き)を披露。バスがルアーを見切る「間」を与えません。また、メガバス独自の「LBO II」システム(※注:I x I SHADはモデルにより重心移動が異なりますが、TYPE-Rは重心固定/サイレント仕様が特徴)ではなく、あえて重心を固定化。
これにより、アクションの立ち上がりを最速化し、障害物に当たった際の「ヒラウチ(体勢を崩す動き)」後の復元力を高め、タフなバスのリアクションバイトを誘発します。数々の「アイ バイアイ シャッド インプレ」で語られる「釣れる」という言葉の裏には、この緻密に計算された「喰わせのメカニズム」が存在するのです。
2. メガバス I×I SHAD TX (アイバイアイ シャッド TX)
I x I SHADシリーズの中でも、最も「アグレッシブ(攻撃的)」に障害物を攻略するために生まれたのが、この「I×I SHAD TX(アイバイアイ シャッド ティーエックス)」です。サブキーワード「アイ バイアイ シャッド TX」が示す通り、このルアーは通常のシャッドプラグが根掛かりしてしまうような、複雑なカバー(障害物)周りを攻め切るために設計されました。
全長57mm、重さ1/4oz、潜行深度1.8mというスペックはTYPE-Rと共通ですが、その中身は全くの別物。TXモデルの最大の特徴は、その「タフネス」なリップデザインと、卓越した「障害物回避能力」にあります。リップの素材と形状を専用設計することで、テトラポッドや岩、倒木などにコンタクト(接触)した際に、ルアーが弾かれすぎず、かといってスタック(根掛かり)することなく、「舐める」ようにヒラリとかわします。
この「ヒラウチ回避」こそが、障害物に潜むバスのリアクションバイトを誘発する最強のトリガーとなります。また、内部には重心移動システムを搭載し、キャスト性能も向上。風の吹く状況や、カバーの奥深くにルアーを送り込みたい場面でも、アングラーにストレスを感じさせません。TYPE-Rが「オープンウォーター(開けた場所)」での喰わせを得意とするならば、TXは「カバーの中」でこそ真価を発揮する、攻めのシャッドプラグです。
3. メガバス I×I SHAD FURIOUS (アイバイアイ シャッド フューリアス)
「アイ バイアイ シャッド フューリアス」の名に込められた「Furious(荒れ狂う)」という言葉。それは、このルアーが放つ「異次元のハイピッチアクション」を完璧に表現しています。全長64mm、重さ1/4oz。スペックは他のI x I SHADと似ていますが、このモデルは「ただ巻き」におけるアピール力を最大化するために、究極のチューニングが施されています。その秘密は、内部に搭載された「LBO II(リニア・ベアリング・オシレーター)」システムにあります。
メガバスの革新的な重心移動システムであるLBO IIは、キャスト時の圧倒的な飛距離だけでなく、リトリーブ開始と同時にウエイトが瞬時に前方のネオジム磁界にロックされ、アクションの「立ち上がり」を最速化します。このLBO IIを搭載した「フューリアス」は、リールを巻き始めた瞬間から、ボディが震えるほどの「超ハイピッチ・ロールアクション」を発生。
その強烈な波動とフラッシング(明滅)は、広範囲に散ったバスや、濁りの入った状況下でも、魚にその存在を強烈にアピールします。TYPE-Rが「サイレント(静か)」に喰わせるルアーなら、フューリアスは「ラウド(騒がしい)」にアピールして喰わせるルアー。その日のバスの活性や、水の状況に応じて使い分けることで、I x I SHADの戦略はさらに盤石なものとなるでしょう。
4. メガバス SHADING-X 75 (シャッディングX 75)
サブキーワード「メガバス シャッ ディング X75」として指名される、メガバスの「レジェンド(伝説)」シャッド。それが「SHADING-X 75(シャッディングX 75)」です。I x I SHADが登場する遥か以前から、日本のタフなフィールドで「喰わせの切り札」として君臨し続けてきました。
全長75mm、重さ1/4oz(約7g)。このルアーの最大の武器は、その「完璧なサスペンド(水中停止)性能」と、ロッドワーク(竿の操作)に対する「圧倒的なレスポンス(反応)」です。特に、水温が低下し、バスがルアーを追いきれない「低水温期」において、このルアーの威力は爆発します。使い方は、2〜3回ジャーク(ロッドをあおる)してルアーをダートさせ、ピタッ…と止める。SHADING-X 75は、その場で「完全静止」し、まるで力尽きた小魚のようにバスに「喰う間」を与えます。
低活性のバスは、この無防備なターゲットを前にして、思わず口を使ってしまうのです。また、ただ巻きでは、ボディをくねらせるような艶めかしい「ウォブンロールアクション」を披露。タフな状況下で、バスの最後の砦をこじ開ける「魔法のシャッド」として、今なお多くのアングラーのタックルボックスに常備されています。I x I SHADとは異なる、このクラシックな名作の実力を、ぜひ体感してください。
5. メガバス FLAPSLAP (フラップスラップ)
「メガバス シャッド」のカテゴリーにおいて、異彩を放つ存在。それが「FLAPSLAP(フラップスラップ)」です。一見すると、体高のあるフラットサイド(平面的な)クランクベイトのようにも見えますが、その本質は「強波動シャッド」と呼ぶべきものです。全長77mm、重さ3/8oz(約10.6g)。
このルアーの最大の特徴は、その極端に薄い「フラットサイドボディ」と、メガバス独自の「シャフトバランサーシステム(PAT.)」にあります。ただ巻きするだけで、この薄いボディが強烈な「水押し(波動)」と「明滅(フラッシング)」を発生させ、まるで体高のあるベイトフィッシュ(ブルーギルやフナ)が身をよじって泳ぐ姿をリアルに再現します。
さらに、ロッドをトゥイッチすれば、内蔵されたシャフトバランサーがボディを内側から強烈に「叩き」、左右に身をひるがえす「パニックダート」を演出。この「静」と「動」のギャップが、バスの捕食本能を激しく揺さぶります。シャッドプラグの「喰わせ能力」と、クランクベイトの「アピール力」。その両方を一つのルアーで実現したいという、欲張りなアングラーに応える答え。それがフラップスラップです。ブルーギルを偏食するフィールドでは、最強の切り札となり得ます。
波動で仕留める!メガバスのシャッドテールワーム&スイムベイト5選
- メガバス SPINDLE WORM (スピンドルワーム)
- メガバス HAZEDONG SHAD (ハゼドンシャッド)
- メガバス SPARK SHAD (スパークシャッド)
- メガバス MAG DRAFT (マグドラフト)
- メガバス MAGSLOWL (マグスロウル)
1. メガバス SPINDLE WORM (スピンドルワーム)
「メガバス シャッドテール ワーム」の歴史において、この「SPINDLE WORM(スピンドルワーム)」を抜きに語ることはできません。長年にわたり、メガバスのソフトベイトラインナップの中核を担い、あらゆるフィールドで「釣れる」実績を叩き出してきた、まさに「定番中の定番」シャッドテールです。その最大の特徴は、ボディ後方にいくにつれて細くシェイプされた「スピンドル(紡錘形)ボディ」と、水掴みの良い「逆三角形」のテールデザインにあります。
この組み合わせにより、スピンドルワームは、超低速の「デッドスローリトリーブ」から、高速の「バーニングリトリーブ」まで、あらゆるスピード域でアクションが破綻することなく、極めてナチュラルな「ロール(体をひねる)アクション」を発生させ続けます。その動きは、まるで本物のベイトフィッシュが泳ぐ姿そのもの。ノーシンカーリグでの「I字引き(まっすぐ引く)」や、ジグヘッドリグでの「スイミング(ただ巻き)」、あるいは「メガバス シャッド」のワーム版として、ダウンショットリグやキャロライナリグのトレーラーとしてなど、その汎用性は無限大。
3インチ、4インチ、5インチとサイズラインナップも豊富で、あなたの行くフィールドのベイトサイズに完璧に合わせることが可能です。初めてメガバスのシャッドテールワームを使うなら、まずはこのスピンドルワームから。その「釣れる」理由を、すぐに理解できるはずです。
2. メガバス HAZEDONG SHAD (ハゼドンシャッド)
メガバスの伝説的ワーム「HAZEDONG(ハゼドン)」の血統を受け継ぎ、シャッドテールモデルとして進化したのが「HAZEDONG SHAD(ハゼドンシャッド)」です。このワームは、数ある「メガバス シャッドテール」の中でも、特に「喰わせ」の能力に特化しています。
その秘密は、ボディに刻まれた「深いリブ(溝)」と、極限まで薄く設計された「ナイフエッジ・テール」にあります。深いリブは、わずかな水流さえも掴んでボディ全体を「微振動」させ、同時に多くの「泡」を纏うことで、バスに対して生命感をアピールします。そして、ナイフエッジ・テールは、アングラーがロッドを操作しない「フォール(沈下)」中や、ラインテンションをかけるだけの「一点シェイク(その場での震え)」といった、極めて繊細な動きにも機敏に反応。
まるで、瀕死の小魚が最後の痙攣(けいれん)を起こすかのような、究極の「喰わせのアクション」を自動的に生み出します。ダウンショットリグやジグヘッドリグ、あるいはスモラバ(小型ラバージグ)のトレーラーとして使用した時、その威力はまさに反則的。何を投げても反応しない、スレきったバスの口をこじ開ける、最後の切り札。それがハゼドンシャッドです。
3. メガバス SPARK SHAD (スパークシャッド)
「メガバス シャッドテール」の中で、最も「アピール力」と「パワー」を追求したモデルの一つが、「SPARK SHAD(スパークシャッド)」です。このワームは、バスフィッシングはもちろん、シーバスやヒラメ、ロックフィッシュといったソルトウォーターのターゲットにも絶大な威力を発揮する、パワー系シャッドテールの傑作です。
その最大の特徴は、ボディサイズに対して「意図的に大きく」設計された、逆三角形のパドルテール。この大きなテールが、リトリーブ(ただ巻き)を開始すると、水を強烈に「撹拌(かくはん)」し、ボディ全体を派手に「ウォブリング(左右に振る)」させます。この「強波動」と「派手なアクション」が、広範囲に散った魚や、濁りの中で視界が効かない魚、あるいは高活性な魚に対し、その存在を猛烈にアピール。
ジグヘッドリグやテキサスリグでのスイミングはもちろん、アラバマリグ(複数のルアーを付ける仕掛け)のトレーラーとしても、その集魚力は群を抜いています。4インチ、5インチ、7インチ(ソルト用)とサイズも豊富で、狙う魚のサイズやフィールドの規模に合わせて選択可能。あなたの「巻物」の釣りを、よりパワフルでアグレッシブなものに変えてくれるはずです。
4. メガバス MAG DRAFT (マグドラフト)
「メガバス シャッドテール」の概念を、ルアーの「構造」から変えた革命的なスイムベイト。それが「MAG DRAFT(マグドラフト)」です。これは単なるワームではなく、メガバスの技術が詰まった「ハードベイト」と「ソフトベイト」の融合体です。
このルアーの最大の特徴は、ボディ内部に搭載された「マグホールドシステム(PAT.P)」にあります。通常、スイムベイトはフック(針)がボディの外に露出していますが、マグドラフトは、トレブルフックをボディ内部に「磁石(マグネット)」で「ホールド(固定)」します。これにより、キャスト時やリトリーブ中にフックが暴れることなく、ルアー本来の美しいスイム姿勢を維持。さらに、フックがボディに隠れることで、スレたバスに違和感を与えず、障害物回避能力も向上します。
そして、ひとたびバスがバイト(アタック)すれば、フックが磁石から解放され、瞬時にフッキングが決まるという、まさに「釣れる」ための革新機構です。ボディから生み出されるリアルなロールアクションと、シャッドテールの強波動が組み合わさり、大型バスの本能を直撃します。6インチ、8インチ、10インチといったサイズラインナップは、まさにモンスターバスを獲るための最終兵器です。
5. メガバス MAGSLOWL (マグスロウル)
マグドラフトが「アピール」と「スピード」のスイムベイトであるならば、この「MAGSLOWL(マグスロウル)」は、その名の通り「マグネット(MAG)」と「スロー(SLOW)」を極めた、究極の「喰わせ」のスイムベイトです。「メガバス シャッドテール」の中でも、最も「ゆっくり」と、そして「艶めかしく」泳ぐことを目的に設計されました。
マグドラフトと同様の「マグホールドシステム」を搭載し、フックをボディに隠すことで、スレたバスを騙し切るステルス性能を誇ります。マグスロウルがマグドラフトと決定的に違うのは、その「アクション」です。ボディは、水面直下を「デッドスロー(超低速)」で引いてきた時に、最も艶めかしい「S字(S字を描くような)」アクションを発生させるよう設計されています。その動きは、まるで力なく漂う本物のベイトフィッシュそのもの。
高活性な魚をリアクションで釣るのではなく、低活性でルアーをじっくりと見ている「賢い」バスに、これが「本物のエサ」であると信じ込ませ、口を使わせる。それがマグスロウルの戦術です。5インチ、7インチ、9インチのサイズ展開で、フィールドのベイトサイズに合わせた、より緻密な「喰わせ」のゲームを可能にします。
まとめ:ハードとソフト、メガバスシャッドを使いこなしタフな状況を打破しよう
「メガバス シャッド」という広大な世界。この記事では、その二つの側面—「ハードプラグ」と「ソフトルアー(シャッドテール)」—の魅力を、具体的なルアーと共に徹底的に解明してきました。ハードの世界では、「アイ バイアイ シャッド(I x I SHAD)」が、その誕生の背景から「TX」や「フューリアス」といった進化形まで、いかに緻密な戦略に基づいて設計されているか。そして、「シャッ ディング X75」のような伝説的なルアーが、今なお色褪せない理由をご理解いただけたはずです。
一方、「メガバス シャッド ワーム」の世界では、「スピンドルワーム」のような定番から、「ハゼドンシャッド」のような喰わせの切り札、そして「マグドラフト」や「マグスロウル」のような革新的なスイムベイトまで、メガバスがいかに「波動」と「生命感」を追求しているかが見えてきました。これらのルアーは、決して「どちらか」ではなく、両方を使いこなすことで、あなたのアングラーとしての「引き出し」を飛躍的に増やしてくれます。
あなたの目の前のフィールドを想像してみてください。バスは低活性で、水中の障害物に潜んでいるかもしれません。そんな時は「I x I SHAD TX」や「SHADING-X 75」の出番です。あるいは、広範囲に散り、ベイトフィッシュを追い回しているかもしれません。それならば「I x I SHAD FURIOUS」や「スパークシャッド」が最適解となるでしょう。ハードルアーで攻めきった後、最後の「あと一匹」を絞り出すために「ハゼドンシャッド」を投入する。その戦略の組み立てこそが、メガバスのシャッドルアーを使いこなす醍醐味なのです。この記事を参考に、あなたの「切り札」となる一本を見つけ出し、タフなフィールドを攻略してください。
